年が若く、よく読み、よく考え、実績を残し、善を為し、尊敬を集めていても、部落格を見る限り貧乏クジを引きつづけている人の存在が興味深い。この御時世で部落格を書く層だからなのか、不幸自慢に長けているのか、その背後は不明だ。
が、俺自身はこういう人が報われるべき社会が良いとも思わない。その背後も不明だ。
さてスイス生活において、地震と火事の心配がないだけで頭がボケそうになるとは新たな発見であった。言ってみれば、地震雷火事親父のうち雷と親父だけが残った状態である。これでボケそうになるということは、つまり地震と火事によって諦念と警戒心を兼ねる日本人の妙な感情が作られたのではないか。
ところで、この平和っぷりから市街地が落書きだらけな理由を推察できるような気がした。自分の生まれる前からそこに在り、死んだ後もずっとそこに在る壁があれば何かしら書きたくなるのは当然であり、それに囲まれて育てば尚更だ。世界の三大落書き名人はイギリス人とスイス人とイタリア人であることも頷ける。