断片的な史料から歴史に生きた人物のなりを探る作業は幼虫期──ラーヴァル・ステージ──の本虫──ブック・ワーム──の辿る通過儀礼だが、趣味の範疇に収まるならまだよい。現世で行われる個人的な所有権の移転にその人物が絡んでくる場合、この作業は全く異なった色彩を帯びる。
こうした情況では、その人物が歴史になった──ビー・ヒストリー──ことは吉報以外の何ものでもない。