ペーパードライバー暦も10年を突破しつつあらんかという今日この頃であり、自動車を運転することを考えただけで手に汗握る度合いも日を経る毎にいや増していく。しかし激動の現代は、そのような素朴な精神の持ち主へ無残にも実車を運転する機会を与えてしまうのである。
今回扱ったオートマティック車は遊園地のカートと同じであり、アクセルを踏んでブウーと進み、ブレーキを踏んでキーと止まることだけ覚えていれば難しいことはない。運転に際し実質上の障害となったのは恐怖心である。2秒踏みこむだけで人間3〜4人を殺せる重さを瞬時に移動できることにまず違和感を感じ、その制御をハンドルとペダル2本に任せなければならないことに恐怖を覚えた。さらにその恐怖の根源を辿っていった結果、金属外装の自動車を動かすポテンシャル・エネルギーの高さに畏れを抱いていたことに気づいた。
としたところ、柔道協会のお偉方が道場に出現する際に自分よりも小さい軽自動車に乗ってきたり、MA-1と下穿きのコーディネイトを纏い50ccのスクーターに乗ってきたりする気持ちをようやく理解した。やつらにとって自分の制御できるモーメントを超えたものを扱うことは自分の運命を超えた潮流を扱うことと同義であり、一般的なお偉方の好む重くてでかくて分厚い車なんぞもっての他なのであろ。しかし、そのような柔道家のくせに恐怖を克服して軽自動車を運転できるところがお偉方のお偉方たる所以と言える。
あとRX-8って起動して1分待たないと前に進めないのは意外な盲点である。これじゃいざというときに逃げられないじゃん。
あとRX-7からのオーナーの前で「あーるえっくすはち」、「あーるえっくすはち」と執拗に繰り返すのは効果的ないやがらせである。