以前の覚書にて言及したバイリンガル夢を最後に、言語的なファクターが大きな比重を占める夢はこのかた観ていない。記憶に残るものはないと言うべきか。部落格の夢解説に頻出する「そこに集まっている人と何か話して、何々ゝゝ」といった描写をしたくても、その場面自体が登場しないので口惜しいのである。さっき観た夢などはこうだ。
世界観はよくある

ストーカー [DVD]

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風の荒廃した工業地帯、ところであの同名ゲームは既に普通の画になってしまった今日この頃であるが、まあいいが、そんな雰囲気の倉庫が舞台である。もちろん床にはガラクタが散乱しており、それを舐めてカメラがパンするシーンから始まる。3Fまで吹き抜けの倉庫内部に張り出したテラスを示すと同時に、3F部分に蠢く人影に注目する。伸び放題の髪と髭に襤褸とグルカ・パンツを纏ってゆっくり歩いており、時おりテラスの端にかかる足をみると凍傷で指をなくしているのが見える。頼りなくバランスを崩しながら歩を進めているが、その先に設けられた区画にあるドアのない出入口まで最大限に急いでいるようだ。
ようやく到着すると、カメラは区画をくぐって反対側のテラスを映す。夢のくせに妙に凝ったアングルである。2Fのテラスに黒い服を着たもうひとつの人影を認めるが、そいつは屈んで何かやっている。もちろん服は着古されて垢だらけだ。3Fの出入口をくぐって視界(夢界)に現われた先程のグルカ・パンツ野郎は、出入口そばの非常用ハシゴの孔から真下に居る人影を認め、気付かれないようにゆっくりハシゴを降り出す。しかし足が滑って2Fの黒服の上に落ちてしまう。人間同士のぶつかりあう湿った音が響き渡り二人とも視界(夢界)から消えるが、残響音がおさまっても一向に動き出す気配がない。
先に目を覚ましたのはグルカ・パンツ野郎だ。起き上がるなり黒服の履いている靴を脱がせて自分の足に入ることを確認した。素早く両足とも奪って履き、そのままテラスを進んで視界(夢界)から消えた。ようやく目を覚ました黒服は何が起こったのかわからない様子で、所在なくあたりを見回す。靴のないことに気付くと、考えなしの様子で突然ハシゴを降りだした。このとき、カメラは初めて黒服の全身を写すが、体躯は華奢で身長もあまり高くないようだ。よく見ると、その服はブラック・パジャマのような簡素な裁断であることがわかる。
テラスに注目していたカメラが引いて倉庫1Fの床を写すと25mプールがあり、赤青白の三色に分かれたユニフォームを着込んだアイスホッケーの選手が俯せに浮かんでいる。この異形を除くとそのプールは倉庫に溶け込んでいる様子で、所狭しとガラクタが浮かび、少ない表面は黄色の油で満たされている。黒服はこれまた考えなしの様子でプールに飛び込むと、浮かんでいるガラクタの中からなぜか新品のスニーカーを拾い出し、両手に持って不器用にプール・サイドまで辿りついた。
プール・サイドに上ってスニーカーを見るとアイスホッケーの選手と同様の色使いであることがわかった。当然のようにそれを履き、靴の中にたまった水を鳴らしながら倉庫の外に出ると、喪服の日本人の一団と出会った。あーもう視界(夢界)のディテールは同じクオリティなのだが、面倒くさくなったのでダイジェストにする。男性は洋装、女性は和服の真っ黒な集団を見て唖然とする黒服、すると男性が髭を剃り始めた。黒服はそれを珍しそうに眺めるが、その男性は突然髭剃りで黒服に襲いかかった。空いた手で黒服の左手を引っ張り、地面に転がしたあと垢まみれの上着を剥ぎとると(黒ずぼん化した)黒服の華奢な左手を高く吊り上げる。露になった生え放題の腋毛を髭剃りで剃るような素振りを見せるが、実はそこに腋毛として擬態していた虫を刈り取ろうとしているのだった。髭剃りを当てるごとに腋毛は空中に飛び立ち、雲散霧消する。黒服の上げる悲鳴は甲高く、ここで初めて女性だったことが明かされる。同様に無理矢理な手付きで伸び放題の髪を引っぱり上げ、バリカンを扱うように髭剃りでそれを刈るとフンコロガシのような真っ黒い甲虫が髪の下から次々に飛び出してきた。抵抗して首を振るため、黒服の髪は虎刈りになってしまう。頭皮が晒されると、頭蓋骨の形状に沿って甲虫と同じサイズのふくらみがぼこぼこと点在しており、皮膚と頭蓋骨の間にも甲虫が潜んでいることがわかった。そのあと草叢からセアカゴケグモが出てきて、踏みつぶすか踏みつぶさないか迷っているシーンでカット。
夢診断的には靴と髭剃りがポイントであり、かなりマッチョな夢の感じか? あーん二度寝するわー。